今年の全国高校野球神奈川県大会を制したのは東海大相模高校。ノーシードにもかかわらず決勝まで神がかり的強さで進出した横浜高校に力の差を見せつける優勝だった。その横浜高校の渡辺元智監督は今大会をもって勇退するという。横浜高校は、この名将のおかげで全国にその名を知られるようになったと言っても過言ではない。
私の高校時代の横浜高校は〝ヨタ高"と呼ばれる柄がよろしくない無名の私立高校だった。それを渡辺監督が必死に強い選手を集めることで野球王国を築いて行ったのは有名な話。特に春の選抜で初出場初優勝を遂げた1973年が横浜高校のベースボールヒストリーの始まりだろう。
その初優勝の原動力となったのがエースの永川英植（元ヤクルト）である。永川は中学校時代から評判の大器で、渡辺監督は永川の中学校の野球部顧問が横浜高校のOBであることを知り、その顧問にお百度参りして、東海大相模高校進学が決まりかけていた永川を強引に入学入部させた。そのとき、渡辺監督に力添えした野球部顧問こそ潮田中学校の体育教師だった中村泰則先生（元潮田中学校校長）である。
潮田中時代に中村先生の野球指導を受けたというだけで、渡辺監督と私とは何のつながりもない。ただ、中村先生と私の４つ年下だった後輩・永川つながりで渡辺監督の勇退に触れた次第。永川は今でも地元・潮田の誇りである。私自身、永川の実家である焼肉店『火星』の前を車で通るたびに彼の活躍を思い、彼の夭折（1991年）を惜しむ。
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