今月7日、高木芳和君が食道がんのために亡くなった。享年71歳。
昨年5月に横浜市民病院に入院してから1年4ヵ月、入退院を繰り返しつつ、過酷な治療に耐えながら、病魔との闘いに身を捧げてきた高木君。何クールにも渡る抗がん剤治療と放射線治療の成果もあって、先月の診断では、すっかりがんが消失していたけれど、口から一切食べられない苛烈な闘病生活が影響し、気力で支えていた体力は限界をはるかに超え、最期は老衰のごとく静かに息を引き取った。
10月には次女Ａさんの出産を控え、高木君は二人目となる孫との対面を楽しみにしていたが、それも叶わず、近親者の「もう少し長生きしてほしかった」の声もむべなるかな、多くの思いにちがいない。
15、16日に通夜、告別式が営まれた。（株）東伸企画設計創業者の葬儀とあって、多数の会葬者が参列した。式前に、高木君と50歳の記念として自主製作したＣＤの曲が会場に流れ、改めて彼のギターの音色と歌声を生で聴けなくなった惜別の念が私の胸を突いた。
告別式のあと、久保山斎場に移動し、荼毘に付した。高木君の骨は骨壷に納まりきれないほどの量だった。係員が詰め込む「ザクッザクッ」という音が空ろに響いた。高校時代からの友人の骨を、孫を抱いた娘と一緒に「拾骨」した。
これまで父を見送り、母を見送り、養父を見送り、子を見送り、妻を見送った。そして、鶴見工業高校の同級生として、近藤吉治君（元山崎製パン仙台工場長、2007年病没）に次いで、無二の友である高木君を見送った。
これから先、孤独で敷き詰められた道を私は歩んでいく。
「生死（しょうじ）の中の雪ふりしきる」（種田山頭火）
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