「パパ、来て。面白いテレビやってるよ」と居間から娘の声が響く。自室を出て行き、娘に聞く。
「何なの？」
「ドンキホーテというドラマなんだけど。川崎がいっぱい出てくるんだって。友だちのSが教えてくれたんだ」
「別に珍しいことじゃないじゃない。チネチッタやラゾーナなんか、しょっちゅうテレビに出てくるよ」
「確かに。でも、このドラマは川崎がいっぱいなんだって。あっ、ほら、ルフロンの2階じゃない、これ？」
「うむ、そうだな」
「ここはぎんりゅう（銀柳街）だし。仲見世も映ってる」
これは、日本テレビ夜９時からの番組『ドン・キホーテ』の話。横浜と東京に挟まれた「都会の中の田舎」と言われていた川崎が、ようやく注目されてきたのだろうか。以前より注目度が高まって、そこで暮らす住人の娘はなんとなく鼻高々な気分のようだ。「ださい、きたない、つまらない、おまけにこわい川崎」と言われるよりはいいけどね、確かに（これ、最近の娘の口ぐせ）。娘が言ってたけど、オレも松田翔太（故松田優作の息子）に会ったら、サインもらいたい！
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