拝啓猫ひろし様、この度はカンボジア代表としてロンドンオリンピック出場が決まり、心からお祝い申し上げます。ここ数年でタイムを2時間30分まで引き上げた努力には感服いたします。市民ランナーにとって、サブスリー（3時間以内でフルマラソンを走ること）はあこがれのタイムです。それをすんなりと記録した猫さんの走力は間違いなくすごい。でも、それはあくまでも市民ランナーレベルでの話。ご承知のように、日本にはフルマラソンを2時間30分どころか、2時間10分台で走る男子選手はごっそりいます。今回の猫選手のオリンピック出場にうらやましく、というか、ねたましく思う日本人ランナーもさぞ多いことでしょう。
猫さんはきちんとしたルールに則って出場切符を手にしました。その点でなんらやましさを覚える必要はないでしょう。ただ、猫さんが出ることで、カンボジアを母国とする選手の出場チャンスが失われたのは間違いありません。それだけに、オリンピック選手としての自覚と責任と誇りを忘れることなく、オリンピック終了後も引き続きカンボジア人としてカンボジアの次世代の子どもたちにマラソンの素晴らしさと、夢を実現する努力の大切さを伝えていってほしいと思います。ロンドン五輪が終わったら、とたんにカンボジア国籍を放り出すようなまねだけは日本の恥ですから、ゆめゆめおこなわないようにお願いします。
日本は2重国籍を認めておりませんから、猫さんは日本国籍を持たない、今や列記としたカンボジア人です。家族ともども移住し、カンボジアの歴史、政治、文化とともに言語も大いに学んでください。そうすれば、オリンピック出場をめぐる批判や非難を跳ね返せるはずです。単なる芸人としての売名行為でなく、また、個人の私利私欲を満たすためにカンボジアという小国を利用するのでもないことを具体的行動で立証されますよう、切に願っております。敬具
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