毎日が猛烈な暑さである。朝6時ぐらいに自宅を出て10分ほど歩くと、汗が背中から滴り落ちる。30分後に多摩川べりに着く頃にはすでに体全身が汗まみれだ。それから5キロ程度走ると、まるでプールに飛び込んでそのまま出てきたような有様となり、傍から見て、まさに見苦しいの一語に尽きる。その間、水分は一滴も取らない。よくそれで熱中症にならないものだ。これじゃあ不健康のために「ジョグウォーク」（ウォーキング＋ジョギング）をやっているようなもの。まったく、今年の夏は異常に暑い。
「年をとっても良いことあるの？」と娘に聞かれたことがある。「ないね。もしあるとしたら、若いときほど思い悩まなくなったことぐらい」と簡単に答えたけれども、これは実に深い質問である。この問いへの答えは人それぞれだろう。その人の人生観なり価値観なりが顕されると言ってもいい。ただ、誤解を恐れずに言えば、老若問わず、良いことも悪いことも同じようにあり、良し悪しの振り幅が大きいか小さいかの程度の差で生きているのではないかということである。
私は若いときから楽観的な気性だったが、今はやや悲観的である。一方、青春期において人間の孤独を強く意識していたけれども、年を重ねて孤独感がさらに深まった。特にこの8月は妻を亡くした月でもあり、寂しさは身に堪える。そこでオーソン・ウェルズの言葉を引用しよう。
「人は一人で生まれ、生きて死んでいく。愛と友情によってだけ、孤独ではないと幻想を抱く」
けだし至言である。愛と友情もない老後は幻想すら抱けない。
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