いよいよ「マイナンバー制度」が動き出した。以前から「国民総背番号制度」が国家による国民の管理・監視体制強化につながるとして、反対の声が強く上がっていたが、「国民総背番号」では悪印象と思ったのか、常套手段ともいうべき横文字に変換、「マイナンバー」として蘇らせ、この「マイナンバー」は生活上面倒な手続きが減る便利な制度ですよ、とぶち上げ、自民党政府が国会でこの法案を成立させたのは周知の通り。
「マイナンバー」は間違いなく国民が受けるメリットよりも権力側にとってはるかに都合のいい制度である。というのも、国民一人ひとりのプライバシーを丸裸にできるからである。権力者を批判したりする都合の悪い者を事前に把握し、場合によってはフレームアップ（でっち上げ）して抹殺することが可能になる。どんな本を読み、どこに出かけるのか、何の仕事で収入を得て、何に支出しているのか、どんな既往症があり、どこで治療をしているのか、趣味が何で、どのくらい支出しているのか、どこへ誰と旅行するのか等々、すべての行動が「マイナンバー」を使用することで、一括・一元管理されて、コンピューターに記録されていく。万が一「マイナンバー」から個人情報が流出した場合、その人間の生活すべてが白日の下に曝されてしまうのである。
テレビのワイドショーでは能天気にマイナンバーになれば便利、と政府見解を無批判に繰り返し、デメリットへの防御解消策など扱おうともしない。今や国民総保守派時代だから、こんな批判をしていると、個人情報を知られると何かやましいことがあるんじゃないかと白い目で睨まれそうだが、民主主義の原則は、自由の保障と個人の尊厳である。そして、国民が主体となって権力者を監視するのであって、権力者が国民を監視するものではないだろう。
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