市川海老蔵の妻麻央さんが亡くなった。病状がよくないのに、自宅に戻ると聞いたときは、自宅で最期を迎えるときがとうとう来たかと案じた。享年34歳。海老蔵の悪人キャラと違い、善人を絵にしたような麻央さん、海老蔵に「愛してる」と言って息を引きとったことで、みんなに語り継がれる良妻賢母の不滅的存在となった。
未来の人間国宝の妻への日本最高水準の医療をもってしても、麻央さんは発症してから3年しか存命できなかった。いかに進行がんが恐ろしいか、誰しも実感したにちがいない。私の妻も進行したらあっという間に、どんな治療を施しても進行を遅らせることすらできなかった。余命1年がひと月経たずして若い命が奪われた（享年37歳）。
将来を描けない、負ける闘いを強いられるのは辛くてしんどい。それも日々忍耐を超えた激痛が襲ってくる。生きる気力が失せ、死にたくなる衝動が押し寄せ、生きたい、死にたいが交互にせめぎあう。それでも、愛する夫と幼子のために、希望を捨てず、明るくがんと闘い続けた麻央さんの不屈の魂はわが妻のそれを髣髴とさせる。
妻が亡くなって約20年。幾多数多の屍を積み上げてもなお、進行がんは若い貴重な命を奪い続けている。私の時代はともかく、次世代の命を救う有効な治療法の開発を心から願いたい。
娘が今日から3泊で沖縄に出かけた。目的はスキューバダイビングの資格を取ることらしい。那覇を拠点にして、レンタカーでダイビングスポットに行き、インストラクターから指導を受けるという。沖縄は梅雨明けして、まだ台風も発生していないいちばん良い時期かもしれない。くれぐれも事故のないよう、親はただただ願うのみ。
越境問題が２ヵ月経っても片付かない実家。だがここに来て築40年の古家の解体に向けて動き出した。膝・腰・肘が痛い老骨に鞭打って、残置物の整理をおこなっているが、なかなかはかどらない。父と母の思い出の数々を無情に捨てる後ろめたさもはかどらない理由か…。
大学時代のAさんから突然メールが届いた。30数年ぶりの音信だろうか。驚いたり、嬉しかったり。というのも、Aさんは大学に入って初めてできたガールフレンド。その後、まだガキだった私は、すぐさま数ヵ月で愛想をつかされてしまったものの、卒業後も連絡は取り合い、フリーアナウンサーで頑張っていた彼女に、高校放送部の指導を臨時にお願いしたこともあった。ただ、Aさんは米国に本拠を移し、その地で結婚。私も所帯をもったことで音信は途絶える結果に。
それが、ネットで私の名前を目に留めたらしく、メールをくれたのが一週間前。カリフォルニア州ロスガトス在住で、お子さんは3人いらっして、いちばん下の息子さんが今年大学を卒業したという。今はAさんとライン仲間となり、太平洋をまたいで情報交換をしている。これは「望外の結果であり、僥倖としか言いようがない」って、藤井聡太棋士（14歳）の言葉をパクってどうする。
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