衆院選の投開票の結果、自民党が圧勝、公明党を合わせて３分の２の議席数を確保、安倍内閣の延命が決まった。投票率は５３．６パーセントで戦後２番目の低さ。台風の影響があったにせよ、１８歳以上の有権者が加わっても、こんな数字では自民党の勝利は揺るぎようもない。本当に日本国民は危機感がないんだと、絶望的な気分になる。
拉致被害者の「家族会」前事務局長の蓮池透著『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』（講談社）を読めば、安倍晋三がいかにして拉致問題をバネに総理大臣まで上り詰めたかがよくわかる。拉致被害者を政治利用し、嘘で塗り固めたような約束を口にする安倍総理以下自民党議員たちの醜悪な政治家、じゃなく政治屋の本性を知るにつけ、こんなヤカラに任せていては日本が滅びるのも時間の問題だと、心底背筋が凍る思いだった。
その本を読んだあとだけに、この選挙結果はますます安倍政権の傍若無人ぶりを拡大深化させ、日本が戦争に加担し、場合によっては核兵器を容認する道筋さえできてしまうのでは、と最悪のシナリオが頭に浮かんでしまう。
文芸評論家の加藤典洋は新聞のインタビューに対して、「これまでの保守政治は、国益保全のために対米自立に向けた努力を続けてきたけれども、安倍政権は米軍に指揮権を委ねたまま、集団的自衛権の行使を容認し、さらに米国に忖度し、国連の核兵器禁止条約に参加しなかった。対米自立を目指しているかのように装いながら、その実態は対米軍事協力のための改正にすぎない」と安倍首相の政治手法を批判する。
保守論客として知られる加藤は、今回の選挙の選択は「保守かリベラルかではなく、対米従属による国益追求か、対米自立による国益追求か」にあると分析する。安倍政権は日本国民のためにならない政策を打ち出し続け、従来の保守系知識人もあきれ果てている。が一方、ネットでの書き込みは「排外主義のアベノミクス信者たち・ネトウヨ」の品性も知性もない（野党、とりわけ共産党への）罵詈雑言が多く見られ、そうした声が安倍を後押ししている。
ネトウヨの皆さん、米国のトランプ大統領に盲目的に追随し、北朝鮮に圧力と制裁をかけるというやり方が、本当に日本と日本国民のためになるとお考えなのか。北朝鮮への日本独自の対話ルートなりチャンネルを使って、核戦争の危機を回避し、朝鮮半島の平和に貢献することこそ、日本の国益に沿うのではないのか。米国を守るために日本人が犠牲になり、日本上空に水爆が落とされる羽目になっても構わないと言うのか。対米追従政策を無批判に継続する安倍政権に反対の声を上げるのが、真の保守であり、真の愛国者ではないのか。
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