過日、６５回目の誕生日を迎えた。前日に娘がオリオンビールとケーキで祝ってくれ、当日は川崎まで出向いてくれた友人と銀柳街の焼き鳥屋で祝杯を上げた。米国在住のＡさんからはKing Salmon Jerky,Pita Chips などビールのつまみがバースデープレゼントとして送られてきた。この歳になると、何がおめでたいのかピンとこない気もするが、ひとつの節目であることとして、素直に喜び、感謝したい。
実のところ、以前より６５歳からの１０年をいかに過ごすか、が自分自身の課題と定めていた。多様な新しいことへのチャレンジと同時に、これまでの生活の見直しの両面で取り組んで行きたいと思っている。体力はむろん、根気もやる気も衰えつつあるものの、心の隅っこに残る意気を引っ張り出し、未経験事項に挑んでみたい。実はモータースポーツを始める準備もしていたが、費用面でもたないことがわかり、ＢライセンスからＡライセンスの挑戦は断念。もう少し早い時期に決断し、国内レース出場を果たせばよかったと、後悔している。
後悔といえば、「これまで悔いたことはない」「後悔しないように生きてきた」と言い切れる人はすごいと思う。私の周りでもそう言える人がいた。その度に「私は後悔だらけの人生です」と応えている。「そんなことないでしょう」と不思議そうに言い返されるが、私には「悔いがない」と言えるあなたのほうが不思議である。
この６５年、思い出したいことも、思い出したくないことも、ともにたくさんあった。「忘れたいと思うものは、絶対に忘れられない」とは村上春樹の言葉だが、後悔はまさに忘れたい記憶のひとつに違いない。だが、その想い出がいかに忌まわしかろうと、しっかりと心に刻んでおかなければならない。再び同じ悔いを残さないためにも。
記憶の一コマひとコマが自身の歩んできた道標となっている。それぞれの年代の節目ごとに選択を迫られ、その時点での最良の選択をしてきたつもりでも、後から見れば、その判断が正しかったかどうか、揺らぐものである。場合によっては明らかに間違った選択をしたこともある。なぜそのとき見抜けなかったのか、なぜ先見の明が持てなかったのか、と後悔するのは凡人の身とすれば普通であろう。
齢６５にして煩悩多く、些細な言葉にこだわる不器用人間。世渡り下手な私の後悔（航海）は続く。
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