昨日、日馬富士が引退会見をおこなった。あくまでも引退会見であって、貴ノ岩に対する謝罪会見ではない、との認識が伊勢ヶ濱親方と日馬富士本人にあったようで、記者からの問いかけにも、貴ノ岩への明確な謝罪はなされなかった。
日馬富士は「貴ノ岩に怪我をさせ、心にも傷を負っていると思います。心から…」と言ったあと、私は当然ながら「お詫び申し上げます」といった言葉が続くものと予想したが、「礼儀と礼節を忘れずに頑張ってほしい」というまさかの加害者から被害者へ注文をつける文言が。
それは違うでしょ、日馬富士さん。歳若い下位の力士に何発も容赦なく素手ばかりかカラオケのリモコン─テレビやナビのリモコンじゃないよ。デンモクという固くて重いヤツ─で頭をカチ割っちゃったあなたこそ、横綱としての礼儀と礼節はどこいっちゃったの？野獣と化したあなたが「礼儀と礼節を教えようとした」はないでしょ。
表面では「暴力は絶対にいけない」と言っても、内実、角界ではいまだ暴力で教育することを是としていると見るべきだろう。品格、技量とも抜群でなければならない横綱がこのありさまなのだ。加えて、史上最強の大横綱・白鵬の言動を見ても、とても品格があるようにはみえないしね。
今後は、貴ノ岩の去就が注目されよう。横綱を滅ぼした男、という突き刺さるようなまなざしが日本、モンゴル両国の不特定多数から向けられることになるだろう。あくまでも、貴ノ岩は被害者であっても、正論など跳ね除けるような世俗的価値観がひとを突き動かすのだ。
「動かざること山の如し」─武田信玄みたいな貴乃花親方が、どこまで貴ノ岩を剛毅果断に鼓舞激励できるか（ここは貴乃花の好きな四文字熟語を敢えて連用）、親方の手腕も見ものである。相撲協会から孤立を深める貴乃花がこけたら、貴ノ岩の未来はない。そんなトラジックな結末だけはどうぞご勘弁を…。
過日、妻のご両親の７年忌法要が川崎市多摩区の春秋苑で営まれた。しばし故人を偲ぶ貴重な時を過ごすことができた。妻の兄ご夫妻はともに若々しくあり、ふたりの娘さんは社会人として精励恪勤している様子。わが娘も臆せずに近況を伝えるなど、以前にない成長を覗かせた。老い衰えるは我が身ばかりなり、か。
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