テニスの大坂なおみ選手が快挙を達成した。いずれグランドスラムに手が届く逸材とは思っていたが、20歳にして全米オープンを奪取するとは想定を遥かに超えたテニスプレーヤーだ。まだまだ底知れぬ可能性を秘めている点、今後への期待が大きく膨らむ。
今年の3月のパルバオープンで決勝に進んだ際、私はこのチャンスをモノにできるかどうかが彼女の将来を占う一戦になると感じていた。結果、大坂選手はなんなく優勝を手にし、「彼女は（全豪・全仏・全米・全英4大タイトルを獲る実力と運を）持っている」と思い、そう遠くないうちに伊達公子を抜く大器として活躍することを確信した。しかし、まさかこの数ヵ月後に優勝するとは…。それも女王・セリーナ・ウィリアムズを圧倒しての勝利。アンビリーバボー！
錦織圭選手もベスト４進出と健闘したものの、天敵のジョコビッチ選手にファイナルへの道を阻まれた。錦織についても、4年前の同じ全米オープンで優勝できる位置に昇りつめたとき、私は「二度とあるかないかの最大のチャンスを錦織は１発でモノにできるか」注目したが、チリッチ選手に敗北し、絶好機をつかめず、「錦織は（４大タイトルを獲る実力と運を）持ってないかも」と微かな不安が過ぎったのを覚えている。その後の錦織は怪我などもあり、トップ10から脱落した戦績となっているのは周知のとおりだ。
サーブに爆発的破壊力がない錦織と違って、大坂には男子に比肩しうる弾丸サーブがあり、ここぞというときにポイントを奪い取る力がある。ハイチ系アメリカ人の父親の血を受け継いでいるせいかどうかはわからないが、日本女子ではとても繰り出せないパワーを持ち合わせているので、日本にとって不世出のテニス選手を得たのではないだろうか。
米国籍も持つ大坂なおみ選手だが、日本人としてテニス登録しているということで、私たち日本国民は、東京オリンピックで大坂が金メダルを獲得するシーンをも目にできるかもしれない。そうなれば、私たちの記憶とともに、歴史的快挙として日本のテニス史に大坂なおみの名前が永遠に深く刻まれるに違いない（すでに全米オープン制覇でテニス史に名は刻まれるが）。
セリーナ・ウィリアムズとの決勝戦では、大坂選手は終始沈着冷静なプレーを心がけ、36歳のセリーナとどっちが年上なのかと思わせるほどの品格漂うテニスを見せた。セリーナが「コーチの助言を受けた」との審判の判定に不服としたのは理解できるし、男子プレーヤーとの「判定・処分差」による「性差別」もさもありなん、と思いつつ、あの言葉遣い、立ち振る舞いはどう理屈をつけようとアウトである。さらに表彰式におけるセリーナの高慢な態度と上から目線の言動もまったくいただけなかった。相手が大坂でよかったと知るべしだろう。
大坂選手のプレーを見て、以前から参考にしているのは、サーブにおけるトスアップの動作がゆっくりしていること。トスをゆっくり上げることで、正確に回転をかけて丁寧にコースを狙い打てる。とかくせっかちになりがちな私のようなヘボテニスには良いお手本となっている。
メジャーリーグの大谷翔平選手同様、今や日本の至宝となった大坂なおみさん、今後は怪我、そして異性にはくれぐれもご用心ください。
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