5月11日までとされた「緊急事態宣言」が今月いっぱい延長される運びとなった。当然の結果である。そもそも2週間で集中的に抑え込むなど、有効な手立てを講じないで、口先だけの「宣言」では、もう国民は言うことを聞かないのはわかっているはず。それがわからない菅総理や小池都知事が、実際本気でコロナ根絶を願っているとは思えない。
コロナ感染が増殖中の東京でオリンピック（＆パラリンピック）を開催するとは笑止千万。開催国が感染真っ只中なのにどこに大義名分があるのか。まったく世界に恥を晒すだけである。少なくともワクチン接種が広く行き渡り、コロナ感染者が減少傾向を示す現状ならいざ知らず、感染情況は刻一刻と悪化の一途を辿っている。
菅も小池もどこ向いて感染対策をしているのだろう？場当たり的で本気度がまったく伝わってこない。ＧＷ中の効果について記者に問われ、人の流れが減少したのは事実、って、菅総理、短期間で感染を抑え込むことはできたのかって話。言い逃れ、すり替えばかりの我が国のリーダー。
人々はもはや菅や小池の言葉に耳を貸す気もない。能書きばかりの政治家の言動にウンザリし、信頼も信用も失墜している。自分たちの無為無策を棚上げして、「ステイホーム」「不要不急の外出はやめよう」を繰り返されても「馬耳東風」「蛙の面に小便」状態の人たちが巷にウヨウヨするのもむべなるかな、である。
変異ウィルスが加わったことにより、感染リスクと重症リスクがさらに高まっている。国や政治がどうあろうとも、自己防衛のために「密集・密閉・密接」の日常的環境は回避していくしかない。怖いのは、無症状感染者の中の「スーパー・スプレッダー」（多くのウィルスを吐き出して多数に感染させる者）の存在である。
3密でなくても、周囲の人たちを多数感染させるこの「スーパー・スプレッダー」とどこでいつ遭遇するか、“神のみぞ知る”である。だから、今こそ「不要不急の外出はしない」のが最善・最強の防御策なのは確かだ。「明けない夜はない」ことを信じ、ウィルスの闇の時代をワクチン接種を期待しつつ、辛抱強く「御籠もり」生活を続けるしか身を守る術はない。
水泳の池江璃花子選手に対し、代表辞退や五輪反対を求めるメッセージが寄せられているという。そうした書き込みを読んだ池江選手は真摯につらい胸の内を明かしている。
五輪開催反対の立場の人たちが池江選手に期待したいのはわかるが、それは池江選手、そして他の五輪代表選手には酷な要求だろう。五輪はスポーツ選手にとって最高の舞台である。そこに立つために日々血の滲むような努力と多大な犠牲を払っている。ましてやその舞台が東京である。コロナ禍による中止・延期はやむを得ないにしても、開催を信じてオリンピック代表として練習に打ち込んでいる最中に今ある。
そうした選手の一員である池江選手にこのようなメッセージを送りつけるのは、彼女の喉元にナイフを突きつけるような行為と等しい。そもそもコロナ禍での五輪開催反対であれば、すでにひとりの選手として心を決し、意見表明しているはず。池江選手を始めとして多くの選手は世相の様々な声を耳にしつつ、逡巡しながら五輪に備えているのが実情ではないか。
あと2ヵ月ほどに迫ったこの時期、五輪反対を突きつけるべきは選手ではなく、五輪を推進する菅総理、小池都知事、丸川五輪相、橋本五輪組織委員長らリーダーたちに対してだろう。人権派弁護士として高名な宇都宮健児氏が主導するオンライン署名サイトに30万人近い「五輪開催反対」への賛同が寄せられているという。
コロナ禍での五輪開催を成功裡に導いたという実績や勢いを駆って、10月の衆議院選挙を勝ち抜く「党利党略」も働き、菅政権は開催ありきだし、五輪選手・関係者全員にワクチンを優先接種などバッハＩＯＣ会長の言動や動きを見れば、流れは明らかに五輪開催に向かっている。ここに至り、他の五輪参加国は今何をどう考えているのだろう？
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