ウクライナ・ロシア戦争が1ヵ月を経過しても収まらない。トルコで停戦協議が開かれているものの、先行きが見えてこない。その間、犠牲者が日々増加の一途、子どもたちも1日で何百人も死者が出るありさま、一刻も速い終戦を願わずにはいられない。
コロナウィルスの感染者数が増加に転じ始めた。より感染力を強めた変異ウィルスが置き換わり出した証左かもしれない。ちまたではサクラが見頃を迎え、人々の動きが活発化し、「蔓延防止」も解除されたことにより、ウィルスによる感染リスクは今後ふたたび高まっていくものと考えられる。致死率と医療の逼迫度を注視していかなければならない。
第94回米アカデミー賞の受賞作品が発表され、『ドライブ・マイ・カー』（濱口竜介監督）が国際長編映画賞を獲得した。この映画、とにかく上映時間が長い。途中眠気を覚えた人がいても仕方ない長さだ。ま、アカデミーの作品賞はムリかな、と思っていた。なにしろ原作が村上春樹、アメリカよりヨーロッパ受けする作風なのだ。でも、巧くまとめた。演出力の非凡さを感じる。今後の濱口監督の作品に要注目。
そのアカデミー授賞式でウィル・スミスが妻を侮辱された由で、クリス・ロックを舞台上で平手打ちしたシーンがオンエアされた。いやあ、やっちまいましたね、ウィル君。世界中の大人といわず青少年も視聴している中、公けでの野獣的振る舞いは知性のかけらもなく、野生の熊が襲い掛かったようなさまは、さすがにいただけなかったね。
が、もうひとりの私は、クリスがウィルの妻・ジェイダの身体的特徴をジョークにしたあと、ジェイダが一瞬顔をしかめ、不快感を露わにしたとき、妻の名誉（というか自分の名誉）を守るためにすぐさま立ち上がり、舞台へ向かった行動は一種の「騎士道精神」の発露のようで、世界中が注視するテレビカメラの前で、お見事、凡人にはそんな勇気ありませんワ、と拍手喝さいしたい衝動が湧き上がった次第。
その後、ウィル・スミスは主演男優賞を初受賞し、スピーチの中で謝罪の言葉を述べたわけだが、願わくば、恥ずべき野蛮行為をした責任を果たすべく、そこは潔く「先ほどの私のふるまいについて、心から謝罪します。その証しとして男優賞を辞退させていただきます」と言って、妻・ジェイダの手を取り、優しくいたわりながら、会場を物静かに立ち去って欲しかった。そうすれば、「野生熊のウィル」から「騎士のウィル」に昇格、私は彼の大ファンになっていたにちがいないのだが…残念至極！（彼の『ＡＬＩアリ』は素晴らしかったけどね）
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