日本のＭＬＢファンにとって、残り２０試合を切った中、アメリカンリーグのＭＶＰは誰の手に渡るのか、最大の関心事となっている。私もファンの端くれとして、アーロン・ジャッジ（ニューヨーク・ヤンキース）と大谷翔平（ロサンゼルス・エンゼルス）が最後の試合までしのぎを削って欲しいと思っている。
率直に言えば、現段階ではジャッジのほうがＭＶＰに近いだろう。ジャッジの打撃成績はずば抜けて凄いからだ。中でもホームランの量も質も突出している。打者としてあの勢いに対抗できるのは、今日も３６号ホームランを打った、大谷のチームメイトであるマイク・トラウトぐらいだろうか。
豪快なスウィングから打ち込まれるボールは、アレッ、平凡な外野フライ？と思ってもスタンドインしてしまうから、投手にとってこれ以上恐ろしいバッターはいない。広角にも打てる点、マイク・トラウトと同様である。ジャッジとトラウトの違いは、ジャッジのスウィングはフォロースルーも大きく、長距離バッターそのものだが、トラウトは中距離バッターのようなコンパクトスウィングでフォロースルーは小さい。両者ともパワーに溢れ、スウィングスピードがべらぼうに速い。ただ、ジャッジは高めのボールを苦にせず、トラウトは高いボールにウィークポイントがあるから、現時点でジャッジは最強のバッターだろう。
一方、投手・大谷翔平は卓越した才能を示し、ツーシームを習得するなど、さらなる進化で成績を向上させている。だが、打者・大谷としては、昨年ほどの爆発力は感じられず、打撃に好不調が目立つ。ＭＶＰを受賞した前年よりインパクトは希薄である。残りのゲームでホームラン数を４０本まで伸ばせれば、ジャッジといい争いになるかもしれない。打者のジャッジに対して、投手の成績を持ち出しても仕方ない。大谷の二刀流は誰とも比較しようがないからだ。それこそ孤高の存在である。まずは打者として秀でた成績を残すことがＭＶＰ獲得のポイントとなると私は思っている（ないし、サイ・ヤング賞を狙える投手成績を上げること）。
大谷が今後ＭＶＰをとるには、投打ともにトップクラスの活躍が求められよう。ただでさえ他の追随を許さぬ唯一無二の二刀流。それなりに好成績を残すだけでＭＶＰに値するのだから。毎年打者として打率２割８分、打点100、ホームラン40本。投手としては１２勝、防御率２点台、奪三振数200、といったところが二刀流・大谷選手の期待される数字となるのではないか。
今年に関して言えば、ホームラン40本に加え、投手として１５勝、そして、規定投球回数をクリアすれば、ジャッジと面白い勝負になるだろう。選考する記者たちも多いに迷うのではないか。とは言っても、ジャッジがア・リーグ記録の６１本を塗り替え、65本近く打つようであれば、今年のア・リーグのＭＶＰは彼の頭上に輝くような気がするが…。
あまり話題として取り上げたくもないが、野球がらみで触れると、巨人の坂本勇人選手の女性問題、酷すぎませんか。独身だから何をやっても赦される、わけがあるものか。本人はもとより、球団から何の釈明もなされないのはおかしいでしょう。示談でけりをつけたから、もう過去のこと、で女性への蔑視に溢れた性モラルの持ち主を甘やかし、野放しにする球団がそもそも相当箍が外れている。
坂本勇人と比べれば、香川照之の行いなどかわいく見えてしまう（女性への罪が軽いという意味ではない）。香川の場合も驕りと女性蔑視からくる狂態だが、示談も済んだ過去の話、とはならず、仕事のほとんどから追放される結果となっている。テレビ番組でも本人は謝罪をした上で、事実上、仕事を干されたのだ。
正力松太郎の「巨人軍は常に紳士たれ」という言葉が虚しく響く。原辰徳監督からして、女性問題でヤクザに大金を渡した疑惑の経験者。何か言える立場でないにしても、球団全体として、子どもたちのあこがれの対象である人気選手がこんな歪んだモラルでお咎めなしはないだろう。肉体の鍛錬はしても、精神の鍛錬は見向きもせず、一時的人気によって、何をしてもゆるされるといった倣岸不遜な人物が、健全な肉体と精神を磨くスポーツに従事しています、と胸張って果たして言えるのか。東京五輪の代表でもあった坂本のふるまいをこのまま看過すれば、今後も無軌道なスポーツ選手による犠牲者は増加の一途を辿ることだろう。
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