日本共産党は、「党首公選制」などを主張、自著で党を批判したとして、党員の松竹伸幸氏に除名処分を下した。「党への攻撃と撹乱は許さない」と志位和夫委員長はいつもの柔和で穏やかな表情を消し去り、厳しい口調で言い放った。
あれほど志位委員長は野党連合政権実現のため、自衛隊も安保も認めるような柔軟な党運営を進めてきたのに、これで以前の陰湿で風通しの悪い独裁的かつ独善的イメージが国民の間に甦ってしまったのでは、と極めて危惧する。
志位委員長が23年も党首を続けていること自体尋常ではなく、党員間から異論が出るのも当たり前といえば当たり前である。志位も自分の地位にしがみつく俗物と化したか。悪名高い共産党の「民主集中制」を持ち出すまでもなく、一度議論を経て、決定した事項はみんなで守るのはどの社会でも常識である（ただし、この「党首公選制」を議題として取り上げられたことはないという）。だからといって、批判の声を許さず、懲罰の対象にするのは行き過ぎだろう。
何をどの媒体で公表しようとも、国民の権利として言論の自由は保障されている。松竹氏はそれを行使したにすぎない。自由・平等・平和を謳う現憲法護持、反原発、反軍拡を高く掲げる共産党のポリシーから、どうしてこんな狭い了見が生じてくるのか、まったく道理に合わない。これが共産党執行部の動脈硬化の著しい表れだとするならば、それこそ全党員で「党首公選制」を実施すべきときが来たのかもしれない。
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